ラジオのはなし(2020)

 

2020年、世の中がこんなことになってしまったせいで (おかげで)、わたしは今年一年ですっかりラジオ大好き人間になってしまった。

日常の中で生まれる隙間という隙間を、とことんラジオを聴くことで埋めていた気がする。というか、若干ラジオが日常生活を侵食してもいた。 

 

 

昨年コンビ揃って既婚者となったオードリーのannは、圧倒的にハートウォーミングなフリートークが増えたと思う。この前までエロパソと中野のキャバクラの話ばかりしていた春日さんが、クミさんと子の保育園を探しに行く話をするようになるなんて。若林さんも若林さんで、毎週のように奥様とのエピソードを話してて微笑ましいことこの上ない。明確に変化していきながらも、それも含めたありのままの「今の2人」を聴かせてくれるオードリーがやっぱり好きだと常々思う。特に好きだったフリートークは、春日さんが夜な夜な一人で阿佐ヶ谷の思い出を巡りつつ、缶ビールを計6缶飲んでしまった話(むつみ荘の壁をシアターに例えていたのにグッときた。情景が浮かんでくるトーク。)と、若林さんがマグロが美味しい築地の(元)居酒屋に行って、めちゃめちゃ話の長い店主に出会った話。若林さんのこのフリートークは、これまで店主に向けられていた視線が最後自分に向く様が、まるで小説のようだった。哀愁と愛情が入り混じったオチに、うっかり泣きそうになってしまった。こういう視点を持てる若林さんのことが私は本当に好きだ。オープニングトークは好きなのが多すぎて選べないので具体的なエピソードについて書くのはやめておく。ただ、今年だけに限らず、毎週繰り返されるこの冒頭約45分間の中では、二人の雑多にも思える話の中から宝物みたいな一言に出会う瞬間というのがあって、私はそういうふとした瞬間に出てくる言葉にどうしようもなく救われて次の一週間を生きているようなところがあるなと、改めて思ったりしている。

 

アルピーdcgは、相変わらず冒頭から嘘ばっかりついているし、 (フリートークもコーナーもすっ飛ばして架空の話を1時間していた回もあったな。)  相変わらず2人ともフリートークが上手い。とくに、2月か3月ごろにしていた酒井さんのおばあちゃんが亡くなったときのフリートークは、今でもたまに聴き返すほど好きだ。大好きだったおばあちゃんとの思い出話と、おばあちゃんの最期を取り囲む家族の描写には思わず感情移入してしまった。そして、残された側に待っている、身内の死に直面したのちのあの特有の忙しなさと、その中で起こるささやかな笑いを一つ一つ掬い上げる酒井さんの視点が素晴らしかった。平子さんのトークでは、家族で奥多摩の鍾乳洞に行った話が好きだった。「鍾乳洞のOB」というパワーワードで死にかけた。それにしても、平子家の兄妹が出てくる話ってどれも本当に可愛くて大好き。としまえん回も良かったな〜。そういえば、今年一瞬だけボイパのコーナーが復活した回があったけどあれは何だったんだろうか。幻?

 

Creepy Nutsのann0は、今年から新たに聴き始めた番組の一つだが、いわゆる"神回" の頻度が本当に高くて、radikoの期限の限り何周もしてしまった回がいくつもあった。Mステや情熱大陸など、今年に入ってテレビ出演が急増した2人なので今年は撮影の裏側トークも多かったが、毎週の生放送と同時並行で過去のネットラジオから遡って聴いている身からすると、誰だか知らん二人の地元のツレの名前が飛び交っていたあの頃と比べて、ビッグな芸能人との共演話を2人がしているのは本当に感慨深いものがある。(今年聴き始めたくせに……) その一方で、本当にしょうもない最低な下ネタでゲラゲラ笑っていたりするので安心する。好きな回がありすぎるのだが、センスがないと言われて二人でブチギレる回は狂おしいほど好きだった。職人から届く辛辣なメールにギャーギャーヤイヤイ言った挙句、業界の関係者からのディス(結局松永さんの勘違いだったが)でさらにヒートアップした結果飛び出した、Rさんの「アングラもセンス系も黙っとけ、お前らも飯食えるようにしたるから」という一言にはブチ上がった。3年目にしてコーナーである「大江戸シーラン」の馬鹿馬鹿しさに気がついて一旦曲を止めてしまうくだりも良かったし、何よりエンディングで展開される「センス」に対する二人の意見が最高で、これだからこの人たちが好きなんだと改めて思った。そして翌日松永さんが体調を崩してActionを休むところまで完璧だった。

 

ヨブンのことは、なんで聴き始めたのかもいつから聴き始めたのかももはや覚えていないが、これを聴き始めて朝井さんのことも高橋さんのことも大好きになってしまった。シリアスな話題で自分の中の、普段目を背けがちな部分を見つめ直させられたかと思いきや、朝井さんの鼻の角栓を高橋さんが嬉々として取る回や、「ボルダリング中にラジオをやってみた」とかいう想像を絶するぶっ飛び回があったりと、本当に毎週毎週飽きさせない。なんだかんだで一番狂っている番組だと思う。特に好きだったのは、「僕の・わたしの 飛んだ話文学賞」の回。受賞作品はもちろん、お二人の講評も素晴らしかった。

 

 

ほかには、佐久間宣行ann0のバカリズムゲスト回、ファーストサマーウイカann0の松永ゲスト回、星のギガボディ阿諏訪プロポーズ回などが印象に残っている。あとハライチのターンはコーナーもフリートークも毎回安定して面白かった。団地の忍者のコーナーがめちゃめちゃ好きだった。そういえば昨年末から年始にかけてのTBSラジオのあるある年またぎも最高で、あるあるってまだこんなに面白いんだと思えた。

 

 

上半期は特に就活だったこともあり、出かける予定もほぼ無くて何も特別なことなど起きない平凡な毎日を過ごしていたが、日々ラジオがたのしかったのでなんだかんだで充実していたような気持ちでいる。

 

好きな番組たちが、来年度も無事に改変突破できますように。