12/16の日記

 

朝から大学に卒論で使った本を返しにいくため、電車に乗った。

昔から冬の電車のこもった空気が苦手だったので、ご時世柄、少しだけ開いた窓から冷たい風が入ってくる車内はわたしにとっては快適だ。電車の中では、先週の佐久間宣行ANN0を聴いていた。綺麗にオチる秀逸なフリートークと職人たちから続々届く最低すぎるメールが、the 深夜ラジオという感じで最高だった。パーソナリティがメールを破く音、初めて聴いた。

 

大学で本を返した後は、近くの書店をパトロールし、そこから神楽坂や飯田橋を経由して竹橋まで歩いた。竹橋までは、ずっと一本道で歩きやすいし、途中商店街もあって楽しい。散歩する中で、気になるお店をいくつか見つけた。天気も良かったので、持って行ったKodakでたくさん風景の写真を撮った。ずっと昨日の星野源のANNを聴きながら歩いていたのだが、ハマ・オカモトとのギターとベースの弾き語りライブが本当に素晴らしかった。「ギターという楽器、この世で一番カッコいい説」がまた確信に近づいた。

 

お昼は、竹橋の毎日新聞社の地下にある飲食店街に行き、ランチタイムのサラリーマンたちに混じって、店先に出ているお弁当を買った。こういう時、私はすぐに優柔不断を発揮してしまう。この日も散々迷った結果、最終的に直感でエスニック料理屋さんのガパオライス弁当を購入した。550円。

買ったお弁当を持って外に出て、目の前の公園のベンチで一人で食べた。いつも思うけど、屋外でものを食べると普段の何倍も美味しく感じられるのはなぜなのだろうか。日差しはあるものの、冬の空気はやはり肌寒かったが、そんな中で食べるガパオライスは、舌に感じるほんのすこしの刺激と、容器から伝わってくる出来立ての温かさがうれしかった。目の前の池に浮かぶ鳥たちを眺めながら、もりもり食べた。

 

その後は、国立近代美術館に行き、「眠り展」を観た。

近美の企画展は、毎回キュレーションのコンセプトが面白い。今回は「眠り」をテーマにした作品が集められていたのだが、同じ「眠り」が描かれた作品でも、被写体が抱える背景や、眠りの行為に作家が見出す意味は様々で、でもどれも、現実と非現実、生と死といったテーマがつきまとっていた。

一番印象に残ったのは、楢崎朝子さんの「half awake and Half asleep in the water」という写真作品だった。

03fotos.com

寝起きで見た世界のような、夢か現かのふわふわした不安定感が感じられる写真に引き込まれ、立ち止まってしばらく見入ってしまった。そして、初めて写真集を買いたいと思い至ったのだが、ググってみたら1万円近くしたため断念してしまった。

帰りに、藤田嗣治の『横たわる裸婦(夢)』のポストカードを買った。美術館に来たら、毎回記念にその企画展の中で見て好きだった作品のポストカードを買うことにしている。なるべく色々な作家の作品を選ぼうと思っているのだが、よく考えたら以前も藤田の猫の絵のポストカードを買ったことがあったなということに店を出たあと気がついた。

 

帰りの電車では疲れて寝てしまった。疲れたが、一人で東京の街を歩くのは楽しいのでまたやりたい。

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