2/24の日記

久しぶりに朝6時には起きて、久しぶりに丁寧にお化粧をした。近所に出かけるくらいならいつも省いてしまうマスカラ、最後に塗ったのはいつだろうか。

電車に乗るのも約1ヶ月ぶりだった。通勤時間帯であるにもかかわらず、2駅ほどで運良く座ることができた。電車の中ではずっと、昨晩のCreepy Nutsのann0を聴いていた。オープニングからエンディングまでずっとたのしい。松永さんを弄るメールは毎回どれも秀逸すぎるし、やっぱりRさんがノリノリで歌唱する回は神回ばかりだと思った。新曲も解禁されて嬉しい。続けて聴いたアフタートークでは新曲の歌詞に関する真面目な話をしていて、そういう良い話こそ本編ですればいいのにと思って笑ってしまった。

 

9時には高田馬場に着いて、友人2人と合流して早稲田松竹に並んだ。鑑賞したのは『82年生まれ、キム・ジヨン』と『はちどり』。昨年公開の韓国映画で、どちらもざっくりとした概要以外の前情報を入れないまま観た。

『82年生まれ、キム・ジヨン』は、現代女性の生きづらさが凝縮されたような映画で、観ていてかなり辛くなったし、でも現実って本当にこうだよなと思って気が重くなった。女性が当たり前のように受け入れなければいけないとされている理不尽な格差に対して、少しずつ、本当に少しずつ、社会は自覚的になり始めているけど、でもいざそれを解消するための制度を現実に使おうとするのには乗り越えるべき障壁があまりにもたくさんあって、頭の中で想像するよりずっと難しいのだと思う。

2本目の『はちどり』は、かなり好きな作品だった。14歳の少女の日常に起こる出来事を、暗めのトーンで、余計な説明やセリフを入れずに淡々と描いている作品だったのだが、それによって大人と子供の狭間にいる、中学生という多感な時期だからこそ感じる世界の閉塞感とか、でもそれに対して自分ではどうにもできないやりきれなさとか、そういった世界への視線が表現されているような気がした。中学生だった頃のことを自分はほとんど思い出せないけれど、所属するコミュニティが大学生の今よりずっと少なく狭かったあの頃は、自分を囲むものだけが世界の全てだったなと思う。だからこそ、主人公のウニの、家族や友達、恋人、学校や塾の先生といった、身近な人間との関わり合いに心の浮き沈みの変化を強く支配される様はリアルだと思った。ウニ役を演じていた女の子もすごく良くて、まだ残るあどけなさと、凛とした魅力が同居している様に惹きつけられた。

2本連続で映画を観たらどっと疲れてしまった。途中休憩があったとはいえ、5時間近く同じ体勢で座って大きな音の中に身を置いていたのだから当たり前だ。

 

映画の後は友人と馬場でラーメンを食べ、解散したあとは予約していた美容院に行った。もともと予定になかったのだが、映画でキム・ジヨンが緩いカールのかかった髪をラフに一つに結んでいるのが可愛くて、その場でパーマをかけることに決めた。今の美容院はもう通い始めて2年半くらいになるのだが、担当してくれる美容師さんが、髪型の相談やセットの仕方以外のプライベートな話を全然してこなくて、私はそのことに本当に救われている。でも、そんなことでホッとした気持ちになってしまっている自分にヘコんでもいる。他のお客さんは美容師さんと親しげに話をして盛り上がったりしているのを見ると、自分の社会性のなさを痛感してうんざりする。たまにプライベートな話を振られても、私は全然会話が続かないし、しかも咄嗟に、別につく必要もないどうでもいい嘘をついてしまったりするので本当にどうしようもない。置かれた場の中で一緒にいる他者に気を使わせずに振る舞えることが大人なのではないか、というような話を、以前たしか朝井リョウさんがラジオでしていたが、(バーベキューでの立ち回りの話題で話していたような気がする、曖昧)私は本当にそういう力が欠如したまま大人になってしまった。その場をただ埋めるだけのために気の利いた話ができるというのは、大人として生きていく上では必要なのだろうなと思う。今年の目標は、「美容師さんとの会話を盛り上げること」にしたい。

 

ちなみに、パーマヘアはとても気に入っている。そういえば、2年前にも春先にノリでパーマをかけた気がする。美容師さんと話さなかった代わりにたくさんファッション誌を読んだので、早く春服を着たい気持ちが増してしまった。暖かな季節が待ち遠しい。